まず高機能自閉症やアスペルガー症候群と間違えられやすい障害を紹介します。
青年期の高機能自閉症やアスペルガー症候群の人が誤診されることが珍しくありません。相手に自分の気持ちを伝えることが苦手なため精神科医でも判断が難しいのです。
例えば、子どものファンタジーが妄想と誤解されたり、会話が支離滅裂な思考と判断されたりする結果です。奇妙で風変わりな考え方や感情の表出が乏しい様子を見て統合失調症と誤ることがあるようです。
高機能自閉症等の子どもが児童期後期から青年期になって、強迫的な特徴を見せることがあります。自分の意に反して不合理な考えが繰り返し浮かんだり、ある行動を繰り返し取らざるを得ない状態を指します。幼児期から示すこだわりは強迫症状と似ていますが、心理的な背景が異なっているため、いわゆる強迫障害とは異なった障害に属すると考えるべきです。薬物療法を行う時、強迫性障害と同系統の薬物を用いますが、心理療法的な働きかけの方法は当然違いますので注意が必要です。
次に高機能自閉症やアスペルガー症候群に合併しやすい障害を紹介します。
児童期以後、上述したような不適応を背景にうつ状態になることがあります。気分が落ち込む、やる気が出ない、睡眠が取れない、頭痛・倦怠感などの身体症状が出現します。
チックの重症型であるこの症状も比較的多く認められます。チック症状(目をパチパチさせるなどの常同的な運動や発声が無意識のうちに反復する等)が複数かつ同時に出る症状です。
高機能自閉症等の子どもの4~10%に合併すると言われています。 その他にもADHDやLDを思わせるような状態を示すこともあります。確かに症例的に見ても該当する内容が多いのですが、慎重になってきちんとした対応を取ることが大切になってきます。