LDには様々なタイプがあり、他の障害と重複を持つこともあります。LDだからといってみんなが同じ特徴を示すわけでもありません。それぞれのLDのお子様がどのような指導上の困難さ、支援の必要性を持っているかを見極めることが大切なのです。
LDには定義やチェックリストがあるように学力面から見ても特有の困難さがあり、他の障害との重複もあります。すくなくとも以下の5つの困難がどのように見られるかがポイントです。
読み、書き、計算、推論(論理的に考える数学的思考)といった基本的学習能力のどこかに特徴のある学びやすさや数学的思考がある。
聞く、話すといった話しことばの理解や使用に学びにくさやつまずきがある。
ソーシャル・スキルや社会的認知能力にみられる困難で、定義には含まれないが、指導面からはとても大切な領域
発達に障害があると運動面にもつまずきを持つ事例が増える。協応運動(手と目など)、運動企画能力にみられる運動の困難を指す。
LDの約3割以上に重複するといわれるのがADHD(注意欠陥/多動性障害)。注意の集中や持続の障害、衝動性や多動性に夜困難が特徴。
ADHDは7歳以前に診断されることが多いので、LDとの重複は就学後にていねいに見ていかなければなりません。LDとADHDは重複しやすいですが、それぞれの特徴に対するアプローチは異なるため、指導にあたっても両者の困難を考えた対応が必要となります。
LDと近接する発達障害である知的障害と自閉症についての関連性についてお話します。まず、知的障害とLDですが、保護者のなかにはお子さんが知的障害かLDかを気にする方をかなり見受けます。LDと判断する場合、知的障害と診断されるような知的な発達に明らかな遅れはないというのが前提です。
しかし、LDには高い知能レベルから知的障害に近い知能レベルまで幅があります。また、知能の測定値には誤差や発達による変動もありますのでその境界を明確にするのは中々難しいのです。知的障害、LDのどちらかではなく、その境界付近にあるという理解が大切なお子さんもいるわけです。
自閉症とLDも見分けにくいことがあります。自閉症はA.社会性(他の人とのかかわり)、B.コミュニケーション(会話や意思疎通)、C.こだわり(興味や関心が狭く特定のものにこだわる)を特徴とする行動の障害です。自閉症と診断されるもののうち、知能レベルが知的障害の診断範囲よりも高いものを高機能自閉症といいます。
自閉症の3つの典型的な特徴のうち、Bの特徴がない、コミュニケーション能力に遅れが無い場合、近年はアスペルガー症候群という診断がされるようになってきました。かつて非言語性のLDと呼ばれた事例の多くがこの診断にあたるのではないかともいわれます。